家族で旅行に出かけたある週末のこと、高速道路のサービスエリアで休憩しようと車を停めました。後部座席に乗っていた友人が「あれ、ドアが開かない」と言い出しました。私は運転席から集中ドアロックを何度も解除しましたが、やはり内側のハンドルを引いてもスカスカとした手応えだけで、一向に開く気配がありません。外側からは普通に開くので、友人は苦笑いしながら外に出ましたが、私は「ついにドアの故障か、修理代が高そうだな」と暗い気持ちになりました。しかし、ふと思い出したのが、先日小さな甥っ子を乗せた際に設定したチャイルドロックのことでした。 確認してみると、案の定、リアドアの側面にある小さなスイッチがオンの位置になっていました。これをオフに切り替えるだけで、何事もなかったかのように内側からドアが開くようになりました。チャイルドロックはその名の通り、子供の安全を守るための素晴らしい機能ですが、大人だけが乗る際には単なる「不便なロック」へと変貌します。特に普段から後部座席に人を乗せない人にとって、このスイッチの存在は忘れ去られがちです。洗車の際にクロスでドアの縁を拭いている時や、大きな荷物を出し入れする際に偶然スイッチに触れてしまうこともあるため、意識していなくてもいつの間にかかかっているのがこのロックの恐ろしいところです。 この経験から学んだのは、車に起きた不調の全てが「故障」ではないということです。特に後ろのドアが開かないといった分かりやすい症状の場合、メーカーが意図して設けた安全機能が正しく作動しているだけであることが多々あります。もし私がこの知識を持っていなければ、慌てて整備工場に駆け込み、プロに笑われながらチャイルドロックを解除してもらうという、気まずい思いをしていたことでしょう。また、チャイルドロック以外にも、窓が開かない時の「ウィンドウロックスイッチ」など、運転席周りには便利なようでいて、不意に作動すると焦る機能が散りばめられています。 それ以来、私は車に不具合を感じた時、まず「自分が何か設定を変えていないか」「安全装置が働いていないか」を自問自答するようになりました。最新の車は電子制御が複雑なため、操作ミスがそのまま故障のように見えることもあります。チャイルドロックの解除一つをとっても、ドアを開けて側面を見るという動作を知っているかどうかで、その後の対応の余裕が変わります。家族や友人を乗せる機会が多いからこそ、車の基本的な機能については細部まで把握しておきたいものです。後ろのドアが開かないというトラブルは、実は車との対話を深めるための良いきっかけだったのかもしれません。今では、誰かが後ろから降りられないでいると、すぐに「ああ、それはチャイルドロックだね」と、自信を持って答えられるようになりました。