ミニバンの代名詞とも言える電動スライドドアは、家族連れにとってこの上なく便利な装備ですが、それゆえに不具合が起きた時のショックは大きいものです。後ろのドアが開かない、あるいは途中で止まってしまうといったトラブルが発生した際、まず確認すべきは、運転席にあるパワースライドドアのメインスイッチです。多くの車種では、右膝付近のパネルにメイン電源を遮断するスイッチが配置されています。これをオフにしていると、ドアハンドルのスイッチやリモコン、運転席からの操作が全て無効になり、手動で重いドアを動かすしかなくなります。子供のいたずらや、膝が当たったことによる誤操作が非常に多いため、真っ先にチェックしたいポイントです。 次に疑うべきは、スライドドアのレール部分への異物の混入です。レールの溝に小石や砂、あるいは子供のおもちゃや食べカスなどが挟まっていると、挟み込み防止センサーが敏感に反応し、動作を反転させたり完全に停止させたりします。特にレールの下部は汚れが溜まりやすく、グリスと混ざり合って粘土状の塊になると、ローラーの走行を著しく妨げます。ドアが動こうとする気配はあるのにすぐ止まる場合は、懐中電灯などでレールの中を隅々まで点検し、清掃と必要に応じたグリスアップを行うことで改善することが多々あります。 また、ドアの密閉部分にある接触端子(コンタクトスイッチ)の汚れも盲点です。車体側とドア側に金メッキされた端子があり、ドアが閉まっている時に電気信号をやり取りしていますが、ここに皮脂や汚れ、錆が付着すると、ドアの閉まりを正しく検知できず、次の動作に移れなくなります。端子をパーツクリーナーや綺麗な布で拭くだけで、嘘のように不調が直ることも珍しくありません。同様に、ドアをロックするラッチ部分に付着した古いグリスが固着している場合も、ロックの解除が物理的に遅れ、電動システムがエラーを吐き出す原因となります。 最後に、スライドドアのワイヤーの劣化についても触れておかなければなりません。電動スライドドアの多くは細いスチールワイヤーをモーターで巻き取って動かしていますが、このワイヤーがほつれたり切れたりすると、電動での開閉は不可能になります。動作中にジャリジャリという異音が聞こえたり、ワイヤーの破片が見えたりした場合は、早急に修理を依頼する必要があります。ワイヤーが切れた状態で無理に動かそうとすると、モーター自体を損傷させ、修理費が跳ね上がる恐れがあるからです。スライドドアは非常に重く精密な部品であるため、日頃の清掃と適切な点検がその寿命を左右します。後ろのドアが開かないという不便を未然に防ぐためにも、レールの清掃という小さな習慣を大切にしたいものです。