都心で一人暮らしを始めてから三カ月が過ぎた頃、私は言いようのない不安に襲われるようになりました。夜遅くに帰宅し、静まり返ったマンションの廊下で玄関の鍵を開ける瞬間、背後に誰かがいるのではないかという恐怖を感じることが増えたのです。特に、最近ニュースで報じられている巧妙な侵入の手口や、SNSで見かける一人暮らしを狙った犯罪の話を知るにつれ、標準装備された鍵一つだけではあまりにも無防備ではないかと思えてなりませんでした。自分の身は自分で守るしかない、そう決意した私は、玄関に補助錠を導入することにしました。 私が選んだのは、工事不要でドアの枠に挟み込むタイプの補助錠でした。賃貸マンションのため、ドアに傷をつけることは厳禁でしたが、この製品は金具で締め付けるだけで簡単に固定でき、外側から見ると明らかに鍵が二つあることが分かります。取り付けたその日、私は何度も外に出て自分の玄関ドアを確認しました。二つの鍵が並んでいる光景は、以前の寂しげなドアとは全く異なり、どこか頼もしさを感じさせました。犯人に対して、ここを破るのは大変だよと無言で警告しているような、そんな心強さがありました。 補助錠を使い始めてから、私の生活には変化が訪れました。まず、夜寝る時の安心感が違います。これまではドアの一枚隔てた向こう側に誰かがいるかもしれないという不安で物音に敏感になっていましたが、二つの鍵をしっかりと施錠することで、心理的な防波堤が二重になったような感覚になりました。また、外出時も同様です。二回の解錠操作は、最初は少し手間に感じましたが、慣れてしまえばそれが安全を確認するための儀式のように思えてきました。自分の家を守っているという実感は、日々の暮らしに落ち着きを与えてくれました。 ある日、帰宅するとポストに怪しげなチラシが入っていたことがありました。以前の私なら、誰かがこのマンションを物色しているのではないかと震えていたでしょう。しかし、補助錠を見上げたとき、私は自分ができる限りの備えをしているという自信を持つことができました。防犯対策は、単に物理的な壁を作るだけでなく、そこに住む人の心に余裕を与えるものなのだと気づかされました。不安に怯えながら過ごすのと、備えをして堂々と過ごすのでは、生活の質が根本から変わります。 一人暮らしの友人たちに補助錠の話をすると、みんな興味を持ちますが、少し大げさではないかと言う人もいます。でも、万が一のことが起きてから後悔しても遅いのです。数千円から数万円の投資で、毎日の安心が買えるのであれば、これほど安いものはないと私は思っています。玄関の補助錠は、私にとって単なる鍵以上の存在です。それは、一人で自立して生きていく私を静かに支えてくれるパートナーであり、どんなに疲れて帰ってきても、ここなら絶対に安全だと思わせてくれる、心の拠り所なのです。
私が一人暮らしの玄関に補助錠を取り付けた理由と安心感