祖父が大切にしていた古い金庫を整理していた際、予備の鍵が一本もないことに気づいた私は、軽い気持ちで近所の大型ホームセンターへ向かいました。住宅の合鍵なら十分程度で作ってもらった経験があったため、金庫の鍵も同じような感覚で考えていたのです。サービスカウンターの横にある合鍵コーナーへ行き、店員さんに金庫の鍵を差し出したところ、意外な反応が返ってきました。店員さんは鍵をじっくりと眺めた後、申し訳なさそうに、このタイプの鍵は店頭では削ることができませんと告げたのです。 私の金庫の鍵は、表面に小さな窪みがいくつも並んだディンプルキーと呼ばれる種類でした。店員さんの説明によれば、金庫の鍵は非常に精度が高く、通常の合鍵作成機ではわずかなズレが生じるだけで開かなくなってしまう恐れがあるとのことでした。さらに、金庫メーカーが防犯のために鍵の素材を一般に流通させていないため、店舗に削るための土台がないという理由もありました。せっかく来たのだから何とかならないかと食い下がりましたが、最終的にはメーカーからの取り寄せを提案されました。 取り寄せの手続きは思いのほか詳細な情報を必要としました。金庫の正面にあるメーカーのロゴを確認し、さらに扉の裏側や側面に貼られている型番のシールを探しました。幸いにもシールは残っており、そこに記された製造番号と、鍵自体に刻印されている番号を書類に記入しました。店員さんからは、メーカーに直接発注するので二週間ほどかかりますが、一番確実な純正品が届きますと言われ、私はその方法でお願いすることにしました。 実際に新しい鍵が自宅に届いたのは、それからちょうど十八日後のことでした。ホームセンターから入荷の連絡があり、店舗まで受け取りに行きました。届いた鍵は、メーカーの刻印がしっかりと入った真鍮色の美しい純正キーでした。恐る恐る金庫に差し込んで回してみると、これまで使っていた古い鍵よりもはるかに滑らかに回転し、重厚な扉がガチャンと開きました。その瞬間の安堵感は今でも忘れられません。もし無理に店舗で似たような鍵を削ってもらっていたら、シリンダーを傷めていたかもしれません。 この経験を通じて学んだのは、金庫の鍵という特殊な存在に対する敬意です。安易に安く早く済ませようとするのではなく、手間と時間をかけて正当なルートで作成することが、結局は大切な財産を守るための最短距離になるのだと痛感しました。ホームセンターは便利な場所ですが、金庫の鍵に関してはスピードを求める場所ではなく、信頼を注文する場所なのだというのが、私の得た教訓です。
金庫の合鍵をホームセンターで作ろうとした私の記録