犬や猫といったペットと暮らす家庭において、スライドドア(引き戸)は、時として思わぬ「悩み」の種となることがあります。非常に賢いペットの中には、人間がドアを開け閉めする様子を観察し、自分で鼻先や前足を使って、いとも簡単に引き戸を開けてしまう子がいるからです。ペットが自由に行き来しても良い部屋であれば問題ありませんが、キッチンや玄関など、ペットが入ると危険な場所や、脱走につながる場所のドアを開けられてしまうと、深刻な事故につながりかねません。こうした事態を防ぐために、ペット対策としての「スライドドアの鍵」が、非常に重要な役割を果たします。ペットによるドア開け対策として、最も手軽で効果的なのが、後付けの簡易ロックです。両面テープで貼り付けるタイプのチャイルドロックなどが、ペット用としても広く応用されています。ポイントは、ペットの手や鼻が絶対に届かない、ドアの高い位置に取り付けることです。これにより、物理的にドアを開けることができなくなります。また、引き戸が完全に閉まるのを防ぎ、数センチだけ開いた状態をキープできる「ドアストッパー」も便利です。これにより、部屋の換気をしながら、ペットが通り抜けることはできない、という状況を作り出すことができます。ただし、猫などの体が非常に柔軟なペットは、驚くほど狭い隙間でも通り抜けてしまうことがあるため、隙間の幅には十分な注意が必要です。玄関の引き戸など、脱走防止が最優先される場所では、簡易的なロックだけでは不安が残ります。人間が外出する際には、必ず鍵のかかる本格的な錠前で施錠することを徹底しましょう。最近では、スマートフォンと連携する「スマートロック」を後付けで設置するという選択肢もあります。ドアが開閉されると、飼い主のスマートフォンに通知が届くように設定しておけば、万が一、ペットがロックを突破してしまった場合でも、外出先からすぐに異変に気づくことができます。ペットの安全を守ることは、飼い主の最も重要な責任です。彼らの賢さと好奇心を甘く見ず、適切な鍵で、家の中の安全な境界線を、きちんと作ってあげましょう。
ペットと暮らす家のスライドドアの鍵