チャイルドロックは、ただやみくらに取り付ければ良いというものではありません。その効果を最大限に引き出し、かつ、家族全員がストレスなく安全に暮らすためには、いくつかの重要な「設置のコツ」と「注意点」があります。これらを知っているかどうかで、せっかくの安全対策が、意味のないものになったり、かえって不便を招いたりするのを防ぐことができます。まず、最も重要なのが、設置する「高さ」です。子供の成長は、大人が思う以上に早いものです。今の身長でギリギリ手が届かない位置に取り付けても、数ヶ月後には、背伸びをしたり、台になるものを持ってきたりして、いとも簡単に解除してしまう可能性があります。設置する際は、常に子供の半年後、一年後の成長を予測し、「こんなに高くなくても」と感じるくらい、思い切って高い位置に取り付けるのが鉄則です。特に、玄関ドアの補助錠などは、大人が少し背伸びをするくらいの高さが理想的です。次に考えたいのが、大人の「利便性」とのバランスです。安全性を追求するあまり、あまりにも解除が複雑なロックを選んでしまうと、毎日何度もドアを開け閉めする大人が、次第に面倒になって使わなくなってしまう、という本末転倒な事態に陥りかねません。特に、片手で簡単に操作できるかどうかは、荷物を持っている時や、子供を抱っこしている時に、非常に重要なポイントとなります。家族のライフスタイルを考慮し、安全性と利便性の最適なバランスが取れた製品を選びましょう。そして、絶対に忘れてはならないのが、緊急時の「避難経路」の確保です。チャイルドロックを取り付けることで、万が一の火災や地震の際に、避難の妨げになってしまっては元も子もありません。焦っている状況でも、大人が迅速かつ確実に解錠できるか、という視点を必ず持って製品を選び、設置後は家族全員で解錠の練習をしておくことが重要です。チャイルドロックは、子供の「学習能力」を侮らず、定期的にその有効性を見直し、必要であれば、より高度なものに交換していくという、継続的な視点も大切なのです。
失敗しないチャイルドロック設置術