子供の安全を守るためのチャイルドロックというと、多くの人がまず玄関ドアを思い浮かべるでしょう。確かに、道路への飛び出しを防ぐ玄関の対策は最優先事項です。しかし、家の中には、玄関と同じか、それ以上に注意を払うべき「危険なドア」がいくつも存在します。子供の目線で家の中を再点検し、見落としがちな危険箇所にも、しっかりと対策を施すことが重要です。まず、最も危険度の高い場所の一つが「キッチン」です。包丁やピーラーなどの刃物、火を使うコンロ、熱湯が入ったポット、そして誤飲すれば命に関わる洗剤類。キッチンは、まさに危険の宝庫です。子供が勝手に入れないように、キッチンの入り口のドアにチャイルドロックを設置するのが最も確実な対策です。もしドアがない場合は、引き出しや戸棚の一つ一つに、専用のチャイルドロックを取り付け、危険なものが子供の手に触れる機会を徹底的に排除しましょう。次に、重大な事故につながるリスクが極めて高いのが、「ベランダの窓やドア」です。子供の転落事故は、親がほんの一瞬目を離した隙に起こります。子供は、大人が想像する以上に簡単に、窓の鍵(クレセント錠)を開けてしまいます。窓用の補助錠や、一定以上開かないようにするストッパーなどを必ず取り付け、絶対に子供が一人でベランダに出られない環境を整えてください。そして、意外と見落とされがちなのが、「浴室や洗面所」です。浴槽に水が残っていれば、わずか数センチの水深でも、子供は溺れてしまう可能性があります。また、洗面台の下には、洗濯用洗剤や漂白剤、化粧品などが保管されていることが多く、これらも誤飲のリスクが非常に高いものです。浴室や洗面所のドアにも、チャイルドロックを設置することを強くお勧めします。チャイルドロックによる対策は、いわば「物理的なバリア」です。危険なものから子供を遠ざける環境をまず整えた上で、「なぜそこが危ないのか」を、子供の成長に合わせて根気強く教えていく。その両輪が、子供の安全を守るための基本姿勢と言えるでしょう。
玄関ドアだけじゃない危険箇所への対策